出演条件の考え方
前回(ノルマとチャージバックについて理解しよう)、ノルマやチャージバックの数字だけでは、そのイベント自体の良し悪しの判断はできないということを書きました。

とはいえ、「自分に合っているか」は、ノルマやチャージバックを含め、総合的に判断するしかありません。
- 自分の集客力で希望する利益になりそうか
- 想定より集客できなかった場合のリスクは許容できるか
- 金銭的なリスクを負っても出演するメリットがあるか(人脈作りなど)

ボクは…金銭的なマイナスだけはないようにしたいから、実力以上のノルマがあるのはやめておこうかな…あとは経験だと思って、できるだけ出演の機会は持ちたいかな!

自分の条件に合えば出演、合わなければ出ない。
それでいいと思います。
初心者は要注意なイベント
条件交渉について考える前に、そもそも交渉が難しいイベントについて書いておきます。
特に親しいわけではない、「音楽事務所」や「プロデューサー」、「ブッキングマネージャー」などの肩書の人、仕事としてイベントを企画している人が間に入る場合です。
他の出演者やお店から直接交渉の場合と違って、間に入る人がいると、当たり前ですが、「その人の働きの分」も利益が必要になります。
なので、どうしてもノルマや費用負担が高額になりがちです。
経費確保のため、出演者数も多くする傾向があり、一人あたりの持ち時間は短くなりがちです。
ファンからすると、お目当ての出演時間が短いより長いほうがいいので、集客がしづらい。
もちろん、その分、何か魅力的に見えるようなイベント内容かもしれません。
例えば、このイベントの出演者からCDデビューできるとか、このイベントの出演者から過去に売れた人がいるとか、有名な人がサポートミュージシャンで出演するとか、そういうようなことです。
初心者のうちは、この「メリットに見えること」が、「デメリットに見合うのか」が判断ができないので、交渉も難しく、出演はやめておいたほうが無難です。
もし興味を惹かれたとしても、以下の2点をクリアするまでは出演は止めたほうがいいと思います。
- 想定できる最大リスク(ノルマなど)金額は、すでに音楽で月に稼いでいる金額以下
- 出演することで、金銭的な面でプラスにできると判断できている
一方で、自分の好きなミュージシャンを集めたり、趣味でやっているイベンターさんもいます。
その場合は、自分の利益は取らずに、ノルマなどの負担を「最低限の費用回収を目指す程度」の低めに設定して、チャージバックを多くしてくれる方もいますので、そこは見分けるようにしましょう。
交渉の考え方
相手の立場で考える
交渉できるかどうか、どう交渉するかは、交渉相手の立場に立って考えてみましょう。
いかに相手の立場で考えられるかが、交渉成功の鍵です。
お店の経営者の立場で考えてみよう
お店を維持するためには、1日いくらという売上目標があり、それを確保できるように金額を考えてノルマを課す訳ですが、ノルマの設定はお店側も悩むところだと思います。
お客さんの人数が少ない場合でも、たくさん飲み食いしてお金を使ってくれれば目標売上に届くかもしれませんし、大勢来店しても、全員が1ドリンクだけだったら、足りないかもしれません。
逆に考えると、飲食の売上で目標売上が確保できると分かっていれば、ノルマを課す必要はなくなります。
ノルマではなく「最低売上保証」を設定している店もある
例えば、ノルマではなく「最低売上保証」を設定している店もあります。
売上がお店の希望額に到達すればOKなので、ノルマなし、チケット代があればそれは出演者の取り分。
売上が未達なら、不足分を店に支払うか自分で飲食して売上に貢献するシステムです。
【具体例】売上目標5万円、実際の売上が4万円だった場合 → 差額の1万円を支払う(または自分で1万円分飲食する)。
具体的な進め方
お店に行ってみよう
出演したい店があったら、実際に行ってみるのが一番です。
通常のバー営業の時間や、オープンマイクなどの参加できるイベントの時が話しやすいと思います。

店側の本音は、質のいい音楽を聞かせてくれて、お客さんが来てくれる、この2つが揃えば理想だと思っています。
質がいい音楽を聞かせてくれるけどお客様がゼロと、しょうもない音楽でもお客さんが満員なら、後者を取らざるを得ません。
現実にはこの間で妥協点を探しています。

出演側の本音としては、ノルマや出演費の負担がなく、誰かが集客してくれて、ギャラをもらえたらだけど…。
現実には、できるだけ費用負担のリスクは低く、チャージバックで利益をあげられるかで、出演を検討しています。

双方の妥協点の一致を探ってください。
ノルマを減らしてくれ、という一方的な交渉ではなく、
「〇〇人ぐらい集客して、売上が〇〇円に届くように頑張るので、チャージバックは〇枚目から〇%バックにしてくれないか」という感じです。
過去の動員の実績などを示すと、交渉が通りやすいと思います。
実績がない場合は、一度出された条件でやってみてから交渉するとスムーズかもしれません。
店としても、売上の保証を求めたい場合もあれば、定期的に出演してくれて、店の宣伝にも貢献してくれるなら、多少目標を下回っても構わないか…などの検討の余地がある場合があります。
お店の目標売上額を出してみよう
一番確実なのは、行きつけのお店なら直接聞いてしまうことです。
平日と金土日とで、異なる目標金額を設定していることが多いので、遠慮せず「一日の売上目標はどのくらいですか?」と聞いてみましょう。
とはいえ、まだ関係性ができていないお店や、聞きにくい雰囲気のお店もあると思います。
そういう場合は、お店の立地や規模から、店舗の維持費をおおよそ推測することもできます。
家賃、水道光熱費、仕入れ、設備費用、人件費。
お店は、開店前の準備やリハーサル、閉店後の掃除にも人件費がかかっているのをお忘れなく。
ただし、これはあくまで大まかな目安です。
家賃や人件費などは外から正確に把握できるものではないので、実際の数字とはズレることも珍しくありません。
可能であれば、推測だけで終わらせず、お店に直接確認するのが一番確実です。
何人集客して、平均いくら使ってくれたら目標達成できるのか。
その数字が出ると、今の条件と比較して交渉ができると思います。

例えば…売上目標が6万だとしたら…飲食で6000円使ってくれる人が10人集客できれば、全額チャージバックで交渉も可能ということ?

考え方としてはそうです。
では、実際にどう動けばいいのでしょうか。
交渉のタイミング
お店に必要な売上がわかると、自分の集客力を考えて、交渉の余地があるかどうか推測できると思います。
出演を打診するときや出演のオファーを受けたときに、交渉の余地がありそうなら交渉してみてください。
自分の基準よりもかなり厳しい条件を提示されたときは、はっきりと断っておいて、自分の条件を付け加えておくのもアリです。
例えば
”連絡ありがとうございます。
ぜひ出演させていただきたい気持ちはあるのですが、今の自分では実力不足なため、今回はお断りさせてください。
その条件でも引き受けられるようになったら、こちらからもお願いしたいと思いますので、そのときはよろしくお願いいたします。
現在は、ノルマなし、1枚目から60%バックを基準にしております。
過去実績としては、集客は0〜8名くらい、平均3名です。
もし、その条件でも出演可能なイベントがありましたら、お声がけいただけると幸いです。”
というような感じです。
交渉は上手くいかないこともある
交渉は自分が思うようにいかないこともあります。
仕方がないです。
でも、誠実に交渉して話ができれば、自分のことを少しわかってもらえます。
お店の考え、方針も、より理解できるようになると思います。
他の出演者がブッキング相手を探している場合などに紹介してもらえるかもしれません。
出演可能なイベントがあれば、声をかけてもらえるかもしれません。
ぜひ、次に繋がるような交渉をしてください。
まとめ
お客様、お店、自分、この三方良しを目指してください。
それが、長い目で見て稼ぎ続けられるコツです。
- 出演条件は「自分に合うか」を総合的に判断
- プロのイベンターが介在するイベントは、音楽で稼げるようになってから検討する
- お店の経営者、交渉相手の立場になって考える
- お店の売上を意識する
- 三方良しを目指そう

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